二羽で来て一羽で帰る秋の空
泣かないで眠って泣かずに眠るから
咲くまでは実るまではと枯れてゆく
芽を出してごらんと土に埋められる
思い出さなくなる冬がやってくる
ここにいなさいと十一月の風
ほんとうのことは箸袋の中に
咳をするたびにあのこが振り返る
かみさまはいなくてお医者さんがいる
揺れながらたぶんこっちと指をさす
間に合わぬ場所で泣いてる赤ん坊
すりおろしりんごガーゼの中の母
大事な輪落とさぬように腰回す
傾けば少し色気が出るみたい
おもしろい看板鳩がようとまる
結び目をたくさんつくる蛸の足
温めています忘れないでいます
仲の良い夫婦をやっている夫婦
加湿器が隠してくれる泣いたこと
はみ出したとこが冷たくなってくる
花が咲いたから雑草でもいいか
運命の人じゃない手があたたかい
すすきの穂 呼んでいるのかさよならか
チョキ出してすすきに勝ちにゆくところ
傾いたままの揺るぎない私