15年連れ添った男性と縁を切って、他の男性の元に走った…と書くと脚色のしすぎだけど、でもそれは真実。
ずっとお世話になっていた歯医者さんをキャンセルして、別の歯医者さんに通うことになった。
これまでの先生には、顎関節症で随分お世話になった。まだ若かった先生もおじさんになった。診察台の横に座らせていた娘が高校生になりましたと言うとびっくりしていた。
ごめんね先生。だって先生が偉くなって、副医院長てなもんになって、診察時間が減ってしまった。予約が思うようにとれないし、予約しても夕方には患者がたまって、1時間も待たされる。
一番の理由は治らない頭痛。このまま様子を見ましょうと、かれこれ2ヶ月も経つのに治らない。抗生物質と痛み止めを飲むばかり。
痛む頭を抱えていると、別の用件で連絡した知り合いの夫が、歯科医療関係の仕事をしている人だった。そんなに長い間薬を飲み続けるのはおかしい、別の医者にも診せなさいと言う。
決して愛想のよくないその先生は、ぼそぼそと説明を始めた。歯科というのは他の医者が触るとすぐわかる。うちへくるならちゃんと責任持って治療にあたるけれども、両方に通うわけにはいかない。どうするか考えて来なさい。
ごもっとも。一晩考えて、新しい方の歯科へ。
「奥さん、いいんですね?」と言われた。なんだか怪しい台詞やないの。「はい、お願いします」と私。
あーあ、始まってしまった。
先生ごめんね。長らくお世話になりました。
先生よろしく。早く治しておくれ。